裁判長「証人は日本中毒学会に所属しているのですか」

 証人「そうです」

 裁判長「どのようなことをしている学会なのですか」

 証人「中毒は幅広く、医師や薬剤師、法医学者、警察関係者も所属しています。生きている人を扱うのが一般的ですが、死んでいる人も取り扱います。通常、医療の場で中毒症状の人をみて、原因や治療方法、予防方法などを考えていくということをやっています」

 裁判長「証人は救急医学学会にも所属していますか」

 証人「はい」

 裁判長「非常にうかがいづらいことなのですが、検察側請求の医師についての中毒症状の知識はどう思われますか」

 証人「救命救急については詳しいと思いますが、中毒に関しては造詣が深いということではないと思います」

 《証人は恐縮するようなそぶりを見せながら、検察側請求の証人として出廷した医師の専門性を疑問視する回答をした》

 裁判長「本日、証人には遠いところからお越しいただきましたが、出廷していただいた経緯はどういうところですか」

 証人「弁護側から人を介して『検察側請求の医師はこういうことを証言するらしい』ということを聞いたのですが、『(早くに通報していれば)100%助かる』という内容を聞いて、致死量の3倍以上を飲んだのに助かるという話が裁判記録として残るのは学問的にどうなのか…。『助かる可能性は低い』ということを法廷できちんと説明をしなくてはいけないと思ったからです」